いす式階段昇降機の法律にまつわる話。ver.定期検査と保守点検

2024年7月27日

いす式階段昇降機は人を乗せる機械だからこそ、法令に則って安全に配慮した設計がされています。

しかし、安全に使用するためには設計だけではなく、メンテナンスも重要です。今回は、いす式階段昇降機のメンテナンスに関わる部分で、「法律」と「定期検査」と「保守点検」について説明していきます。

その他法律に関して、いす式階段昇降機と「確認申請」について知りたい方は以下のリンクをご覧ください。

いす式階段昇降機の法律にまつわる話。ver.確認申請

いす式階段昇降機のメンテナンスに関わる「法律」

いす式階段昇降機にもメンテナンス、整備に関わる法律があります。それが「定期検査」です。

「定期検査」とは建築基準法に制定される検査のことで、略して「定検」などと呼ばれることもあります。いす式階段昇降機は建築基準法内で「昇降機」のグループの扱いになり、この「昇降機」には「定期検査」の規定があります。

「定期検査」の規定には、特定行政庁に報告する義務がある昇降機とそうでない昇降機の明示もされています。

似たような用語で「点検」がありますが、昇降機に関しては「検査」と「点検」は明確に区別されています。

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いす式階段昇降機に関わる「定期検査」とは？

「定期検査」「定期検査報告」に関して、建築基準法では「昇降機の所有者（あるいは管理者）は、資格者に検査を受けさせて結果を特定行政庁に報告しなければならない（建築基準法第12条3項より）」と明示されています。

定期検査の対象になる「昇降機」は1年に1度検査報告を特定行政庁に報告します。

この定期検査は、昇降機の状況について、項目ごとに合否を判定するものであり、機械の調整や注油などの点検・メンテナンスは含まれません。

いす式階段昇降機の設置時に結ぶ契約の保守点検は、定期検査の対象になる昇降機の場合は定期検査報告も含まれていることが一般的です。（※定期検査対象外の場合は含まれません。対象については後述します。）

いす式階段昇降機は「定期検査」の対象になるのか？

定期検査の対象となる「昇降機」は以下の通りです。

エレベーター
エスカレーター
小荷物専用昇降機のうちフロアタイプ（地域によってはテーブルタイプも対象）
特殊な構造又は使用形態のエレベーター又はエスカレーター
- ホームエレベーター
- 段差解消機（鉛直型・斜行型）
- いす式階段昇降機

など・・・

いす式階段昇降機は「特殊な構造又は使用形態のエレベーター及びエスカレーター」として建築基準法施行令に定められています。

そのため基本的には「定期検査」の対象になります。

しかし、例外もあり、「住戸内のみを昇降するもの」は対象外です。

居住者のみが使用するいす式階段昇降機は、「定期検査」の対象外となることが多いので、チェックが必要です。

※住戸内の定義について…原則、玄関の鍵のかかるドアより内側のみを昇降するもの。その他にもは各特定行政庁の判断（解釈）によっては認められることもあるようですが、都度、特定行政庁へ（審査機関を経由して）問い合わせるなど、慎重に対応する必要があります。（例：玄関より外側に設置されている昇降機に関して、昇降機を鍵で管理して居住者以外は使用できないようにする。など）