LILYCON

リリコン
感じたことを形にしたい!
美術や演劇を学生のころに学んでいたという川奈優花さん。 小柄な体で走り回るエネルギッシュさと、やわらかい笑顔がとても印象的だ。 神奈川県横浜市の新羽駅から一本路地を入ると、そこには落ち着いた風景が顔を覗かせている。通りのにぎやかな雰囲気とは違った街並みの中に、ネイビーの建物がすっと目に入ってくる。手すり取付けやバリアフリーなどの介護リフォームを行う「株式会社 トライアングル」。春からここに勤めている彼女は、入社して5ヶ月の新入社員だ。 

「もともと大学に入る前から演劇や美術館で絵を観たりすることが好きで、親や友達と演劇などに行くことがありました。ただ『楽しかった』と帰ってきて、自分なりの感想をなかなか言葉にできないことがもどかしかったんです。それで偶然美術史を学べる学校に出会ったときに、実際学ばれている方のコメントを見て、そこに“自分なりの感想が言葉でレポート出来るようになりました”っていうのをみてやってみたいなって思って。それでその大学に入りました。」  

大学では観るだけではなく、実際に演劇にも挑戦していたらしい。 そんな行動派な彼女が今の会社に入ろうと思ったきっかけは、一体なんだったのだろうか。 

「人数も少ない部活だったので、本当にみんなで協力して一から演技も脚本もやっていました。あとは舞台装置も建設業のように自分たちでドリルを使ったりもしていましたね。劇をやってきて何かやりたいことがあったときに、試行錯誤して実現していくということが素敵だなって思っていました。そういったことができる仕事を探していて、特に業界を絞って建設業というわけではなかったんですが、トライアングルに出会ってホームページをみていると“お客様に合った、一人一人にあった住まいづくりを目指して”と書いてあったのを見て、この仕事がしたいなぁと思いました。あとは一人一人にクローズアップをしている、オーダーメイドなところも興味が湧きましたね。」
必要としてくれる環境があるから、頑張れる
「お客様の数だけ、答えがあるんです」そう語る川奈さん。 同時に見えないものを見えるものにしていく難しさも、改めて実感しているという。 

「手すり取り付けのお仕事のことなんですが、あるお客様は『これがいい』と言っても、別のお客様は『それは嫌だ』とおっしゃる方もいます。手すりの位置や、高さ一つとっても全く違うので、お客様に聞くことで勉強になることもいっぱいあります。あとはお客様の要望に合った提案ができたときはやはり嬉しいなって思いますね。私はまだ経験はないんですが、先輩がお客様に『こうしませんか?』と提案した際に『あ、それいいですね!』としっくりきたお顔をされているのをみると『あ、いい提案ができたのかな』と嬉しくなります。プロとしてそういう提案が早く出来るようになりたいですし、ピタッとはまったお顔は分かるので、しっくりきたポイントに気づくとやはり気持ちがいいですね。」 

右も左も分からなかったスタートだったが、今は自分がいることで周りに与える影響にも気づいた。 そのきっかけになったのが、彼女が勤めるトライアングルのこんな習慣だ。

 「うちの会社には終礼で誰か一人を褒めるという習慣があるんです。一日の報告をするときに、連絡事項を毎日だれか一人が担当してメールを回すんですが、その負担の代わりにその人を褒めようという趣旨なんです。私がその担当のときに『女性が現場にいると和むよ』って褒めていただいたことがあって、自分ではそういうつもりはなかったんですが、仕事以外で自分の存在意義を感じられた出来事でもありました。これもこの間言ってもらえたことなんですが、『川奈ちゃんが頑張っているから僕も頑張る』って言ってもらえたんです!『川奈ちゃんが頑張っているのに僕が頑張らないわけがないじゃないか』って。そういった面で私自身の励みにもなっています。」  
私だからできる、私だけの提案を
建設業で働き始めて、周りの男性たちと比べてしまうこともあるという。 本来1で終わる作業を、2かかってしまうこともあるのだとか。

 「女性の中でも小柄な方なので、この作業着も特注で作ってもらったんです(笑)。あとは建物相手なので、重い工具じゃないとダメなんだろうなって、工具を扱うのもなかなか難しいです。男性だったら片手で持てるところを、私は両手で持たないといけなかったりします。重たい以外に、手も男の方より小さいので、私が持っているときと男性が持っているときでは工具の大きさが違って見えるんですよね。」

 そんな女性特有の悩みを話しながら、それでも明るく川奈さんは話してくれた。 自分のスタイルを早く見つけることが今の目標だという。 

「出来るようになると自分としても楽しくなると思うので、自分なりにこうしたらやりやすいというやり方を探していきたいなって思います。男性の中でもやり方が人それぞれなので一から教えて下さるんですけど、必ず前置きで「これはそのままやらなくていいからね」とフォローを入れていただくので、いいところをつまんで自分のやり方を組み立てていけたらいいかなって思っています。」  
休日は思いっきり女の子を楽しむ!
休日は外出するにも、たっぷり準備をするそう。 仕事とのメリハリを生むためにも、この時間が大切なのだ。

 「普段のお休みは鎌倉の方によく食べ歩きに行きます。おいしいものを食べることが好きなので(笑)。あとは映画やカフェでゆっくりすることも多いです。仕事をしているときは作業着や化粧をあまり直す時間がないですし、汚れても気にしないので、休日に着たい服を着たり髪を巻いたりと、準備に時間をかけてプライベートは女性らしい楽しみを大切にしています。そういう休日とのメリハリも楽しいかなって。女性らしいところを忘れないように、気を付けていますね。」  
これから出会う新しい自分
川奈さんは一人前がゴールじゃないと話す。 10年後の自分はどのようになっているのだろうか。

 「そうですね……今よりはきっと知識も力もついて、会社の為に一人で動けるようになっていると思うんですが、目の前のお客様はその時々で違うので、結局たくさん勉強しているんだと思います。この仕事で一人前っていうのはなかなかないかなって思うので。お客様に合ったものはなんだろうか、というのはやはりお客様の動きをみたり、現場をみたりしてお客様と現場に合うものを考えて悩んでいるんじゃないかな。いろんなお客様のニーズに応えるにはその時もやはりお客様の為に走り回っていると思います(笑)」

目の前のことだけでなく、将来のことを考えながら仕事に取り組んでいる彼女に、これから建設業で働く女性に伝えたいことを聞いてみた。 

「持ち上げられなさそうな工具や高速カッターで金属を切ったり、一見『女性には無理』と思われるような事にも積極的に挑戦しています。まずはやってみよう、という気持ちで挑戦してみると『無理かも』と思ったことも出来ていたりして、自分でも驚く事が多くあります。なので建設業で働くうえでこれが楽しいから、これがしたいからというのは常に持って働くことが大事だと思います。女性で建設業となると力仕事や汚れてしまったり色々苦しいこともあると思いますが、何がやりたいのか、何が楽しいのかという軸があればくじけずにやっていけると思うので、そういった面を持って頑張って欲しいと思っています。」  

人の想いを形にしようと奮闘中の川奈さん。 周りのたくさんの人や仲間に支えられながら、一つ一つ出来ることが広がる度に新しい自分と出会える毎日。 まっすぐ前だけをみて、将来のことをしっかりと見据えた彼女の成長が楽しみだ。