2017.02.10禅と老子 株式会社トライアングル
瞑想とは心を静めて無心になること
瞑想が意味するのは、心を鎮めて祈ったり、何かに心を集中させること、心を鎮めて無心になることです。
1.1 瞑想の由来・歴史を遡ると宗教と深い関係がある
瞑想は英語でMeditation(メディテーション)といいます。これはラテン語の「meditate」に由来していて、「精神的および身体的な訓練・練習」という意味合いの言葉です。
その後、キリスト教が盛んになった時、Meditationは神やイエス・キリスト、聖母マリアを心の中で思い浮かべることを指すようになりました。
一方仏教では、瞑想は「内観(ないかん)」を意味し、内観をすることで意識が「阿頼耶識(あらやしき)」と呼ばれる深層意識へ到達し、悟りが得られるとされました。ヒンドゥー教では、瞑想は真我(真我)の会得や神との合一体験を意味し、輪廻転生からの解脱が最終目的であるとされています。
また、日本古来から伝わる神道では瞑想という言葉はないものの、「御霊鎮め」と呼ばれる瞑想と同等の行いが存在します。
瞑想というと、インドの痩せた行者が座禅を組む姿を思い浮かべる人もいるのではないでしょうか。最近ではヨガは日本でも浸透し、健康法として定着していますが、もともとはインドの瞑想法「ヨーガ」から来ていて、その源流は極めて古く、紀元2~3世紀頃と言われています。
仏教の創始者ゴータマ・シッタールダが悟りを開いたのは、その頃すでにあったサンキーヤ学派の理論に基づいて作られたヨーガ学派の瞑想法で、これをヨーガと言いました。シッタールダはさらに、この瞑想法を安全かつ体系的なものに発展させ、現代に受け継がれているのが、現在の仏教の瞑想法です。
瞑想の効果
瞑想には様々な効果があり、各種宗教での精神修行や脳内発達、自己実現や自己啓発など、多岐にわたる分野で取り入れられています。これほどたくさんの分野で取り入れられていることを見ても、その効果のほどをうかがい知ることができます。
瞑想の方法も多種多様で、自分の心身の状態に気づく力を育むマインドフルネス瞑想法や、潜在意識やチャクラを整える心理学やヨガの瞑想法、自分の願いや夢を引き寄せるスピリチュアルの瞑想法など、数え上げたらきりがないほど。
しかし、手段は違えど脳内で起きていることはほぼ同じです。効果も大体同じで、瞑想の効果は以下のものが挙げられます。
- 集中力が高まる
- 思慮深くなる
- 気づく力が高まる
- 直感力が高まる
- 共感力が高まる
- 思いやりの気持ちが生まれる
- 心を落ち着かせる
- 不安を和らげる
- うつの軽減
- 幸福感を高める
- 判断力が高まる
- 決定力が高まる
- 記憶力が高まる
- 生産性が高まる
- 創造性が高まる
- 免疫力を高める
- 体が冷えにくくなる
- リラックス感を高める
- 脳全体の能力が高まる
- 加齢による脳機能の低下を抑える
瞑想による効果は、心身に多大な影響を与え、万能と言っていいほど素晴らしいものです。では、なぜこれほど素晴らしい数々の効果が生まれるのでしょうか?
2.1 瞑想をすると効果が出るのはなぜ?
瞑想をすると効果が出るのはなぜなのか、科学的な側面から見てみましょう。
ランナーズハイという言葉があるように、心を何かに集中し続けていると、目を開けていても瞑想状態になることがあります。瞑想状態になったときに脳内で分泌されるのが、脳内の麻薬物質と呼ばれるエンドルフィン。
エンドルフィンが麻薬物質と言われるのは、快感を得られるからで、またの名を「幸せホルモン」とも呼びます。エンドルフィンは、モルヒネの6.5倍の鎮静作用があります。
エンドルフィンが分泌される場面としては、瞑想やランナーズハイのほか、高カロリーの食事の摂取や楽しいと感じること・・・食欲、睡眠欲、生存欲(勝負に勝つ)、性欲、集団欲(人に好かれる・認められる)などが満たされている時です。
エンドルフィンが出るのは、実はその前に出るアドレナリンを相殺するため。アドレナリンは痛みや疲れ、うつや不安など、生命の危機を感じた時に緊急処置として出される物質です。
アドレナリンはストレスを軽減する一方で、毒性があります。その毒性を緩和するために分泌されるのがエンドルフィン。エンドルフィンは通常は一時的なもので、アドレナリンがなくなれば役割が終わるため、分泌も終了します。
ただし、エンドルフィンを永遠に分泌し続けるものがあります。それが、精神性の高い欲求です。これを純粋欲といい、見返りのない欲求(他己中心・利他)や自己実現、自己の成長の欲求などを指します。
ガンジーやマザーテレサが人のためばかりに働いていたにもかかわらず、いつも優しく豊かな心を保てたのは、高い精神性を常に持っていたからでしょう。瞑想の目的が自己の成長の場合に有効なのは、こうしたメカニズムがあったのです。
また、脳はエンドルフィンやコルチゾールといった幸せホルモンが出ている時、α波が出ています。α波はご存知の通りリラックスしている時に出る脳波。集中力を持続させるほか、忍耐力や人への共感力を高め、創造的で自由な発想やひらめきが生まれる状態の時の脳波です。
お坊さんに人格者が多いのは、瞑想などの修行によってα波が出やすくなっているため、人への共感力や自己を統制する力、不安がなく穏やかでいられる力が優れているからかもしれませんね。
さらに、科学的に脳の海馬・灰白質の密度が増えることも実証されており、海馬や灰白質が増えると感情がポジティブになったり、情緒が長期的に安定したり、集中力が高まることがわかっています。
瞑想をすると集中力が増す、不安が解消される、人間関係が改善したりするなどの効果があるのは、エンドルフィンやα波の発生とストレスホルモンの減少、海馬や灰白質の増加などから、脳がリラックスし、脳本来の活動が活発にできるようになるからです。
間違った瞑想法がもつ危険性
瞑想にはたくさんの良い効果がある反面、大変な危険性もはらんでいます。瞑想中に突然泣き出したり、頭痛や発熱、体の冷えを体感するといった自律神経に影響があるような症状が現れることを「禅病(ぜんびょう)」と言います。
さらに、前章「瞑想をすると効果が出るのはなぜ?」でご紹介したエンドルフィンは、2人以上の集団で一つのことに集中する方が、一人で行うより効果があるため、集団催眠などに用いられます。その最も有名な例が、ヒトラーの独裁政治であり、地下鉄サリン事件で日本中を震撼させた、かの宗教団体の洗脳です。
瞑想は、目的がリラックスすることや集中力を高めること、良いイメージを持つことの場合と、短時間(15分程度)なら問題ありません。私も寝る前に5分くらい